お茶の知識

荒茶とは!?緑茶はどの様にできているのか?

荒茶

高橋哲也と申します。

1982年千葉生まれ、静岡県在住のお茶好きです。

今回は、緑茶がどの様な手間をかけて作られていくのか?緑茶には、色々な名前(玉露とか煎茶)があるが何が違うのか?その工程によってどの様な名前になっていくか紹介していきます。

私達がお店で買っている茶葉は、荒茶を仕上げ茶に加工したものです。

荒茶とは茶園が色々な工程をして製品になる前の茶葉です。緑茶の種類が決まるとき茶葉と、この作業により決まります。

荒茶にはどの様な作業工程があって、その工程によって名前が変わっていくのか見ていきましょう。

緑茶種類

荒茶とは!?煎茶機械製法工程一覧

機械製法

茶葉を摘む

摘む部分と時期によって品質が変わるります。

茶葉は芯の部分から根に向けて葉の数1,2,3と数えていきます。

『一芯二葉(いっしんによう)』芯の部分から2枚目の葉まで摘む。上級煎茶はこの部分を使って作られる。

『一芯三葉』上質なお茶が作れる、一芯二葉よりは収穫量は多くなり品質は少し下がる。

『一芯五葉』普通のお茶。機械などで一気に摘み取っていく

茶の新芽は5,6枚の葉が巻き込まれており、最後の葉が完全に開いた時、出開いた(でびらいた)と言います。

出開きで時期が決まってきます。50%~80%の出開きが適している。早摘みの物は30%~50%が良いとされています。

蒸熱(じょうねつ)

生茶葉の醗酵を止めるため、蒸します。この蒸し時間は40秒程で「煎茶」となり、80秒程で「深蒸し煎茶」さらに蒸しあげると「特蒸し煎茶」となります。

祖揉(そじゅう)

粗揉機

祖揉機と呼ばれる機会の中で、圧力を加えられる回転軸があるので、熱風で揉みながら乾かしていく。

揉捻(じゅうねん)

揉捻機

揉みながら水分を均一にしていく。ここでは熱を加えずに行う

中揉(ちゅうじゅう)

中揉機

回転式、機械の中で再び熱風を加え揉む。

ここで茶葉はある程度の乾燥具合になり、かたまりがなくなる

精揉(せいじゅう)

凹凸のある洗濯板の様な板がついている機械の上で、形を整えながら乾かしていく。

乾燥

乾燥器

形が整った茶葉を乾燥機に入れ、水分含有量5%程度までする。

荒茶完成

まだ水分量が多いためこの後仕上げ加工していく。

荒茶を仕上げ茶にする工程

荒茶によって水分含有量が5%程度になった茶葉を仕上げ茶にするために加工していきます。

火入れ

再度乾燥。高級茶葉は低温で下級茶葉は高温で行われることが多い

ふるい分け・切断

ふるいわけ機

この段階では茶葉は不ぞろいなので、ふるい分けや切断をして形を整える。

選別・木茎(もっけい)分離

分離機

細かく分けていく。茎や細かくなり過ぎたもの、芽など取り除く。 この作業で本茶と出物に分けられる。本茶は合組(こうぐみ)作業に、出物と呼ばれるものはここで商品になる。茎茶、粉茶、芽茶など

合組(こうぐみ)

合組

お茶が完成します。需要に応じてブレンドする。合組を行わないお茶もあります。

荒茶とは!?煎茶以外の製造工程

ここまでで、煎茶や出物のお茶の工程が分かりましたが、この他にもお茶の種類はあります。他のお茶の工程も見ていきましょう。

抹茶製造工程

抹茶

抹茶は碾茶(てんちゃ)というものを茶臼で挽いて出来上がります。

  1. 蒸熱(じょうねつ)
  2. 冷却拡散
  3. 荒乾燥・本乾燥
  4. 選別
  5. 練り乾燥

この様な作業をして碾茶ができます。

お茶として使われる抹茶は被覆栽培の茶葉を使う事が多いです。蒸し時間は20秒程と短め。

散茶機で、くっついた葉を冷ましながらバラバラにしていく。蒸した後一切揉まないのが特徴

碾茶炉で茶葉を広げ乾燥させる。

釜炒り茶、蒸し製玉緑茶製造工程

釜炒り茶・玉緑茶

釜炒り茶は蒸す代わりに炒って作られます。そうすることで特色のある香り「釜香」がするようになります。また精揉工程が無いためまっすぐにならずにカールした形になる。

蒸し玉緑茶は製茶作業工程から、精揉工程を除いたもの、精揉工程の代わりに仕上再乾と呼ばれる工程が入る。これは、回転式機械の中で葉を攪拌させながら乾燥させる。葉を強く揉まないので渋みがやわらぎ、独特の形になる。

被覆すると名前も変わる

茶葉を摘む前の工程として、『被覆』という作業があります。

被覆とは、日光が茶葉に当たらないように、「よしず」「わら」「こも」などを茶葉に被せる。

茶葉は日光があたる事で光合成を行います。光合成により『カテキン』が増加します。カテキンには苦み、渋みを感じられます。

光合成をさえぎる事により、カテキンの増加を抑え『テアニン』の含有量が増えます。このテアニンは、旨味、甘みが感じられます。

テアニンとはアミノ酸の一つで、緑茶には数種のアミノ酸がありますが半分以上がテアニンです。

カテキンとは、ポリフェノールの一種で苦渋(くじゅみ)成分です。

テアニン、カテキンともに健康効果の面で大いに活躍している成分です。

この被覆作業をすることでできるお茶は『玉露』『かぶせ茶』です。『抹茶』は被覆栽培しているものと、そうでないものがあります。

玉露とかぶせ茶の違いは被覆期間にあります。茶園によって多少違いますが、一般的に玉露や抹茶は30日程度でかぶせ茶は1週間程度とされています。

手揉みの製造工程

現代では減ってしまった、古き時代の手揉みについても紹介させて頂きます。流派や個人によっては多少違うのですが、一般的に伝承されているものを紹介します。

蒸熱(じょうねつ)

せいろの中で茶葉を30~40秒蒸す。その後すぐにうちわなどで冷ます

葉ぶるい

茶葉を加熱した助炭(じょたん)という作業台にのせ両手で持ち上げ振り落とす。3割程の重量が減るまで行う。

回転揉み

助炭(じょたん)の上で葉を転がし水分を揉みだす。水分が均一になっていく。

玉解き・中あげ

葉のかたまりをほぐして、平らに広げ水分を均一にしていく。

中揉み

茶葉を助炭(じょたん)の中心に集め、両手でこすり合わせ、旋回させる、針状の形になっていく。

こくり・仕上げ揉み

強く握りしめるように揉み、形、香りをよくする。

乾燥

助炭(じょたん)に薄く広く茶葉を広げ乾かす。何度か裏返す。

この様な工程でお茶ができます。茶師が6時間程かけて300gしかお茶が出来ません。

機械で作ると数時間で数百キロ作れてしまいます。

効率が重視され、手揉み文化は減っていきました。

静岡にしかない手揉み流派

明治38年多くの流派の優れた点を取り上げ総合して、もっと良質の茶を作れる技法がまとめられ、これを「明治38年製法」と呼ぶ。以後はこれに従い講習会などが開かれ、各流派の違いは少なくなっていった。昭和42年に静岡県は無形文化遺産に「手揉み製茶技術」指定している、この時16名を認定している。現在は個人でなく流派を対象としていて、継承しているのは8流派

  • 青透流
  • 小笠流
  • 幾多流
  • 倉開流
  • 川上流
  • 鳳明流
  • 興津流
  • 川根揉切流

最後に

静岡県中心にお茶関連の色々場所にいき、勉強しております。記事の内容が良かったと思い、新しい記事に興味が少しでもあると思ったら是非ブックマークとTwitterのフォローお願いします。

@tya_takahashi

今回荒茶についてお話させて頂きましたが、色々なお茶が飲みたくなったのではないでしょうか??私お茶の種類の味分析もしてみましたので是非みていってください。

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