日本茶アドバイザー高橋 哲也と申します。
茶葉の品種は100種類以上ありますが市場に出回っている多くは『やぶきた』という品種で一度は見聞きしたことはあるのではないでしょうか。この『やぶきた』が茶園面積の約75%を占めています。この事で採摘作業の集中や摘み遅れによる品質の低下などの問題も指摘されています。
また茶園の33%が樹齢30年以上の老園となっており、老化等による収量減少やうま味成分の含有量低下なども懸念されています。
まずは茶園の分布を見てみましょう。
目次!!
緑茶、茶園面積の品種別割合
上のグラフの通り2012年では茶園の75%がやぶきたを栽培しています。
やぶきたとは異なる収穫時期の品種開発や、やぶきたにはない特色があり機能性成分を持つ『べにふうき』や『サンルージュ』のような品種にも需要拡大が期待され開発されています。
現在やぶきた一強時代ですがやぶきたとはどの様なお茶なのか?また他の品種はどの様な物がありどの様な特徴があるか見ていきましょう。
色々な品種がありますが、栽培面積が多いもの、昨今注目されているもの、私のお気に入りの品種など紹介していきます。
緑茶品種 やぶきた
1953年品種登録・静岡在来種実生
【主産地】静岡県・鹿児島県・福岡県・他
【加工】煎茶用品種だが、加工され色々な種類がある
【特徴】
- 総合的に優れた品種
- 甘みのある濃厚な滋味
- 優雅な香気
- バランスが非常に良く日本人好み
皆さん知らずに飲んでいるお茶はやぶきたかもしれません。それほどにやぶきたは多く、普及しています私も良く飲みます。
緑茶品種 ゆたかみどり
1966年品種登録・あさつゆ自然実生
【主産地】鹿児島県
【加工】煎茶用
【特徴】
- やぶきたにつぎ、栽培面積2位
- 深蒸し煎茶に加工されることが多い
- 香り、コクゆたか
- カテキン含有量が多い
緑茶品種 おくみどり
1974年品種登録・やぶきた×静在16
【主産地】鹿児島県、京都府など
【加工】煎茶用
【特徴】
- 採取時期が遅い晩成品種
- 爽やかですっきりした味わい
- クセがない
緑茶品種 さえみどり
1991年品種登録・やぶきた×あさつゆ
【主産地】鹿児島県、宮崎県
【加工】煎茶用
【特徴】
- 鮮やかなグリーンの水色
- 渋みが少ない、うま味が強い
- 上品な香り
- 緑茶品種中、高品質なものはテアニンを最も多く含む
緑茶品種 あさつゆ
1953年品種登録・宇治在来種実生
【主産地】鹿児島県
【加工】煎茶用
【特徴】
- 天然玉露といわれるほど、うま味がつよい
- 渋み、苦み少ない
紅茶品種 べにふうき
1995年品種登録・べにほまれ×枕Cd86
日本で初めての紅茶・半醗酵茶兼用品種
紅茶、ウーロン茶の品種だが緑茶を作る工程で作られる
【主産地】静岡県
【加工】紅茶用品種
【特徴】
- メチル化カテキンが多く含まれている
- 一番茶、二番茶、秋冬番茶と次第にメチル化カテキンが多く含まれる
- 渋み、苦みが強い
- メチル化カテキンは醗酵で消滅する為紅茶ではとれない
緑茶品種 サンルージュ
2011年品種登録・茶中間母本農6号実生
【主産地】徳之島
【加工】その他の品種
【特徴】
- アントシアニンが含まれている
- 色の変化が楽しめる珍しい緑茶
- メチル化カテキンも含まれる
緑茶品種 つゆひかり
2003年登録品種・静7132×あさつゆ
【主産地】静岡県
【加工】煎茶用
【特徴】
- 柔らかな渋み
- 爽やかな香り
- 水色鮮やか
最後に
この他にも緑茶の品種は数多くあります。それぞれ特色があり美味しいものもそうでないものもあります。
私は色々な緑茶を飲み、私好みの緑茶を日々探しています。品種が同じでも種類が違えば味も違います。煎れ方を変えてみれば味や香りが変わります。緑茶は奥が深く私の人生をすべて使っても全てわかる事は無いと思いますが、自分好みの緑茶が見つかると喜びを感じます。
これからも色々な品種などについて紹介していきます。良かったらブックマークしておいてください。品種だけでなく緑茶を使った料理のレシピなども紹介しています。