お茶の知識

緑茶 アミノ酸上手な取り方。温度と時間の関係

緑茶 アミノ酸

日本茶アドバイザーの高橋哲也と申します。

緑茶には多くの栄養素が含まれていますが、その栄養素がどの様な働きをしてくれているか、ご存じでしょうか?

代表的な栄養素としては、アミノ酸、カテキン、カフェイン、ビタミン、ミネラルなどがあります。今回はアミノ酸についてご紹介していきます。

記事を読み進めていただく前に、この先、栄養成分の説明に『茶葉』と『抽出液』という表記がありますが、茶葉に含まれている栄養素とそれを抽出したときにとれる栄養成分を分けて説明してあります。抽出とはお茶を煎れた時の事です。

うま味成分、アミノ酸

アミノ酸含有量
茶葉1g当たりの含有量(データー:『科学成分から見た市販緑茶の品質』農林水産省、茶試験場)

緑茶にはどの様なアミノ酸が含まれているか見ていきましょう

  • テアニン
  • アルギニン
  • グルタミン
  • セリン
  • アスパラギン
  • グルタミン酸
  • アスパラギン酸

の7種類で緑茶のアミノ酸の半分程度がテアニンが占めています。

このテアニンは、アミノ酸系グルタミン酸の仲間です。このグルタミン酸は昆布などに多く含まれている、アミノ酸です。

被覆したお茶特有の香りに『覆い香(おおいか)』がありますが、よく青海苔のような香りと表現されます、これもグルタミン酸のおかげでしょう。

うま味成分って何??

人の味覚は5つの味を感じます。『塩味・苦味・酸味・甘味・うま味』です。

もとはうま味以外の4つだったそうですが、この4つでは説明できない味がある事を日本人が100年以上前に発見したそうです。

皆さん和食の出汁を飲んだことありますか?あれはうま味のかたまりですね。それを調理することによって、色々な相乗効果があります。

うま味成分には三大うま味成分があります。

  • イノシン酸
  • グルタミン酸
  • グア二ル酸

カツオに多く含まれる、イノシン酸

昆布に多く含まれる、グルタミン酸

干椎茸に多く含まれる、グア二ル酸ですね。

アミノ酸含有量

(mg/g)テアニンアルギニングルタミン酸
玉露(上クラス)23.496.53.51
抹茶(上クラス)24.3111.866.14
煎茶(上クラス)15.453.142.58
番茶4.610.341.73
ほうじ茶0.310.140.32
釜炒り(上クラス)22.224.712.63
(データー:『科学成分から見た市販緑茶の品質』農林水産省、茶試験場)

アミノ酸の含有量は茶葉1g当たり何mg有しているかという事です。

5gの茶葉ならアミノ酸の量も5倍になります。

テアニンはどの様な温度でどれ位の時間で煎れたら、テアニンが抽出できるか見ていきましょう。

上級茶葉並級茶葉
40℃ 2分43.4%21.6%
40℃ 4分76.9%62.7%
40℃ 6分84.5%74.0%
40℃ 10分88.6%88.4%
60℃ 2分64.8%74.6%
60℃ 6分88.7%82.3%
60℃ 10分85.2%80.2%
80℃ 2分76.6%76.8%
80℃ 10分100%96.7%
95℃ 2分92.3%93.4%
95℃ 6分100%100%
データ:煎茶の浸出条件と可溶成分と関係37号浸出条件によるアミノ酸類の溶出量

うま味を感じる上手な煎れ方

玉露などでアミノ酸を上手に摂取するのには、煎れ方も重要です。一度沸かしたお湯を低温(50℃)まで湯冷まししてから、茶葉に注いで2分程待ちましょう。

高温で煎れてしまうと、一緒に渋み成分も溶けだしてしまいます。うま味を味わいたいなら60℃以下で煎れましょう。

アミノ酸には色々な効果がありますが、ここでは緑茶に多く含まれている、テアニン、アルギニン、グルタミン酸の3つについて、紹介させて頂きます。

アミノ酸効果・効能

アミノ酸効果、効能

緑茶には7種のアミノ酸が含まれていますが、その中でも多く含まれている、テアニン、アルギニン、グルタミン酸はどの様な効果を与えてくれるか、見ていきましょう。

テアニン摂取目安量と効果効能

テアニンを摂取するメリット

  • 睡眠の質の向上
  • リラックス効果
  • 抗ストレス
  • 疲労回復
  • 集中力の持続

この様な効果があるとされています。

テアニンを摂取することで、リラックス指標のα波が30分後から確認される。50㎎~200㎎摂取することでリラックス効果が認められている。

テアニンに関し色々な実験を経てこの様な効果があるとされているようです。静岡県立大学薬学部海野先生のコラムのリンクを貼っておきます。詳しく知りたい人は見てみてください。

テアニンには1日の摂取量の範囲は決められておらず、過剰摂取による副作用の報告もありませんので採り過ぎに関し、それほど心配することも無さそうです。

玉露の茶葉3gで1杯飲めば70mgのテアニンが摂取されると仮定すると、玉露のリラックス効果はすごいですね。

アルギニン摂取目安量と効果効能

アルギニン摂取メリット

  • 筋肉増強
  • 免疫機能の向上
  • 血流改善
  • 男性機能の改善

この様な効果があります。

しかし、通常アルギニンが効果的に働くには1日2000mg~4000mg以上の摂取が必要とされています。緑茶だけでアルギニンの適度な摂取は出来ません。

ちなみに食品では、大豆(2700mg/100g)、キハダマグロ(1300mg/100g)、ニンニク(1000mg/100g)などがアルギニンを多く含んでいる食品になります。

もしお茶でアルギニンを取ると・・・・玉露3gで煎れて・・・103杯飲めば、2000mgとれます。お茶にアルギニンの効果を期待するのは辞めましょう。

グルタミン酸効果効能

緑茶成分には「グルタミン」というものがありますが、グルタミン酸とは別物です。

グルタミン酸摂取メリット

  • 利尿効果
  • 脳活性
  • 脂肪蓄積を抑える
  • 美肌効果
  • 血圧下げる

この様な効果が期待できます。

グルタミン酸は、昆布やチーズ、トマトなどからも摂取出来ます。

サプリなどでも手軽に摂取できる時代になりましたが、個人的には自然にとれる程度が一番良いのではないかと思っています。

アミノ酸(テアニン)を採りたいならこの緑茶

うま味を感じられる、テアニンをより多くとりたいのなら!

玉露、抹茶、かぶせ茶です。その中でも上クラスの物がより良く摂取出来ます。

上クラスって??と思いましたら、近所のお茶販売店などに行ってみてください。たいていの所は丁寧に説明してくださります。

私は月に2,3度お茶屋さんに足を運びます。お気に入りのお茶屋さんもあります。新茶など出れば教えてくれますし、分からない事聞けば、どのお店でも丁寧に教えてくれます。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございます。

これからも静岡県中心にお茶関連の色々場所にいき、勉強しております。記事の内容が良かったと思い、新しい記事に興味が少しでもあると思ったら是非ブックマークとTwitterのフォローお願いします。@tya_takahashi

参考文献

後藤哲久(1996)「市販緑茶の個別カテキン類とカフェインの分析」、『茶研報83』p21-28農林水産省食品研究所

池田重美(1972)「煎茶の浸出条件と可溶成分と関係」,『茶業研究報告』p69-78