日本茶アドバイザー、高橋と申します。
お茶王国と言えば静岡でしょうが、その他にも美味しいお茶を作っている産地は多くあります。この産地を紹介するとともにその産地ではどの様な種類のお茶を作っているのかを見ていきましょう。
産地や品種、種類を知ることで毎日のお茶が美味しく楽しく飲めることと思います。
種類とは、抹茶・玉露・煎茶などで、茶園での工程で名称が変わる。
目次!!
種類の全国分布
緑茶には煎茶、抹茶、玉露などの種類がありますが、緑茶産地ではどの種類が作られているのでしょう。
【緑茶主要産地 荒茶生産量ランキング】(2015年)
- 静岡県 31800t
- 鹿児島県 22700t
- 三重県 6662t
- 京都府 2901t
- 福岡県 1965t
上位3県で全国栽培面積の7割を占めている。
お茶の2大産地である、静岡、鹿児島の生産量は他を圧倒する生産量です。
近年では静岡のお茶の生産量など落ちています。しかし鹿児島は生産量を伸ばしています。土地柄や地域の戦略に違いがあるようです。
お茶産地 種類別ランキング
お茶の産地には様々な特徴があり戦略があります。その中でどの様なお茶の種類が多く生産されているのか見ていきましょう。
統計は自然産業研究所の統計情報を使わせて頂いています。
お茶産地 煎茶
煎茶とは一般的なお茶で『深蒸し煎茶』なども含まれる。緑茶の54.2%はこの煎茶となっている。
【煎茶 産地ランキング】(2015年)
- 静岡県 20300t
- 鹿児島県 15300t
- 宮崎県 2180t
- 三重県 1816t
- 福岡県 1490t
全体で45405tの生産量があって、静岡県と鹿児島県で78%以上の生産をしている。
お茶産地として2大産地の静岡、鹿児島は一般的な煎茶の生産量も非常に高いものであった。
お茶産地 玉露
玉露とは被覆したお茶で、非常に丁寧に作られたお茶。非常に強いうま味と他のお茶にない香りが楽しめる。全体の割合の0.7%程しか生産されていない。
【玉露 産地ランキング】(2015年)
- 京都府 160t
- 福岡県 75t
- 静岡県 13t
- 三重県 6t
- 佐賀県 1t
煎茶とはまったく違う結果になりました。全体の生産量が257tですので京都だけで6割強の生産量があることが分かりました。
お茶産地 かぶせ茶
かぶせ茶も被覆したお茶の一種で玉露より、被覆期間が短いです。しかし煎茶と玉露の良い所を併せ持ったお茶という事で人気の高いお茶です。
全体割合の3.3%程生産されているお茶です。
【かぶせ茶 産地ランキング】(2015年)
- 三重県 2784t
- 福岡県 300t
- 奈良県 300t
- 京都府 196t
- 静岡県 185t
全体の生産量は4160t。三重県だけで全体の67%以上生産しています。
個人的にはこの『かぶせ茶』非常に好きな種類です。我が静岡でも生産されていますが非常にコスパよく、香り味ともに良いとこ取りなお茶です。
お茶産地 抹茶
抹茶とは煎れ方が他のお茶と比べ違います。抹茶は茶葉ごとお湯に溶かし飲むので栄養素なども高いですが、自身で煎れるのが難しいものです。
緑茶割合の4%生産されているお茶です。
【抹茶 産地ランキング】(2015年)
- 京都府 988t
- 愛知県 505t
- 静岡県 275t
- 奈良県 165t
- 三重県 110t
生産量は2141tとなっています。
京都は玉露と抹茶で高級茶の2冠達成です。京都が高級茶に力を入れ生産していることがこの事からでも分かります。
お茶産地 玉緑茶
『ぐり茶』と呼ばれるもので、煎茶とは少し製法が違います。また玉緑茶には蒸し製と釜炒り製の2種類が存在します。この2種類とも玉緑茶となります。
緑茶全体の2.4%程生産されています
【玉緑茶 産地ランキング】(2015年)
- 長崎県 690t
- 佐賀県 670t
- 熊本県 479t
- 静岡県 184t
- 宮崎県 143t
生産量2368tです。今までランキングにはあまり出てこなかった、長崎、佐賀で全体の57%以上の生産量を誇っています。
色々な産地がどの様な種類のお茶を作っているか分かりました。ここからは各府県がどの様な戦力を持ち、ブランドがあるか見ていきましょう。
お茶産地別品種構成
(%) | 静岡 | 鹿児島 | 京都 | 愛知 |
ゆたかみどり | 0.04 | 27 | 0.4 | 6.3 |
さえみどり | 0.6 | 13.1 | 1.2 | 4.3 |
さやまかおり | 1.9 | 0 | 1.5 | 2.2 |
やぶきた | 90.5 | 32.3 | 57.9 | 70.7 |
さみどり | 0.03 | 0 | 19.6 | 0.7 |
おくみどり | 0.7 | 4.8 | 13.6 | 3.4 |
その他 | 6.2 | 22.7 | 5.6 | 12.5 |
お茶大国静岡
お茶産地と言ったら思い浮かぶのは静岡県ではないでしょうか。静岡県はどの種類の生産ランキングにも顔を出しています、茶園の数も日本一です。各茶園がアイディアを出し独自性を保っていることが良く分かります。
やぶきたの発祥の地であり、お茶の歴史の長い静岡県です。
静岡県では色々な種類の緑茶がありますが、やはりどの産地でも、煎茶や深蒸し煎茶は作っております。特徴としてはやはり段々畑ではないでしょうか。傾斜がきつく大型機械が入れないような場所にあるため、人の手による摘採が多いです。
小さな茶園が数多く存在しているため、茶園が独自の成長を遂げているのも静岡県の大きな特徴とされています。また静岡には手揉みの流派があり、それにより手揉み文化も独自の成長を遂げていきました。
【茶栽培農家】(2015年)
- 静岡県 9617戸
- 鹿児島県 1744戸
- 福岡県 980戸
- 三重県 967戸
- 京都府 653戸
【静岡県内有名産地】
- 牧之原地区・・・明治時代に中条景昭等が開拓した土地として有名。静岡最大の茶産地
- 本山地区・・・安倍川付近、以前では安倍川茶と呼ばれ徳川家康も愛したお茶で現在でも良質なお茶の産地
- 清水地区・・・旧清水市を中心とした場所で駿河の茶として歴史も深い
- 志田地区・・・朝比奈上流の玉露が有名。その他藤枝、島田、岡部などを総じて志田地区と呼ばれる。
- 川根地区・・・南アルプスの麓、大井川の山間斜面の茶園が多く古くから銘茶の産地として有名
- 西遠地区・・・太田川上流域と天竜川上流域。天竜茶などは上級茶の産地として有名
各産地有名ですね、特色があり、どこのお茶も美味しいですが個人的には本山茶の抹茶は非常に美味しいと思います。
怒涛の追い上げ鹿児島
お茶産地とし次に名前があがるのが鹿児島でしょう。
近年ではお茶の生産量は静岡に追いつきそうな勢いです。
鹿児島のお茶のイメージと言われれば、広大な土地での大規模生産。また色々な品種を多用している所でしょうか。
【鹿児島お茶産地】
- 知覧・・・知覧茶は色々な賞を取っている有名な茶
時代を感じる京都
京都茶の歴史は古く、鎌倉時代に栄西から明恵に茶種が渡され宇治に伝えたのが始まりとされていて、この頃京都の栂尾の茶が一番とされていて、他のお茶とは一線引かれ、区別されていたほどです。
京都茶のイメージはやはり玉露と抹茶の高級なお茶が多い所です。この販売戦略は成功しています。
茶園一戸あたりの収益率は京都が一番良いとされています。
【京都お茶産地】
- 宇治・・・日本三大茶の一つ。歴史深く高級感があるお茶の産地
- 宇治田原・・・鎌倉時代に大福谷に茶が植えられ大福茶として幕府に献上されていた歴史のある産地
京都の抹茶、玉露はよく頂きますが、うま味が非常に強く感じます。香りよく高級感があります。
お茶産地色々
日本三大茶は『静岡茶・宇治茶・狭山茶』とされています。
【埼玉 狭山茶】
”色は静岡、香りは宇治、味は狭山でとどめをさす”との茶摘み歌が狭山にはあるそうです。
狭山には狭山火入れという独特な技術があり、甘みが増し上質なお茶が出来るとされています。
狭山とは県西部の入間市、所沢市、狭山市を中心とする狭山丘陵地域のことをさします。
【三重 伊勢茶】
三重と言えばかぶせ茶です、かぶせ茶がコスパが良く日々頂くことが多いお茶です。
伊勢茶はうま味があり口当たりも優しく、煎茶の良い所も引き出し玉露の持つ香りも楽しめます。
もしかぶせ茶を試してみたいと思ったら、三重伊勢茶の物から試すのが良いでしょう。
【福岡 八女茶】
京都に次に玉露の生産の多い福岡ですが、有名産地と言えば八女が思い浮かびます。
玉露は八女市山間部の黒木町、上陽町、星野村で生産されている。
八女茶は甘みうま味が強く、コクがあるお茶です。