お茶の知識

浅蒸し茶とは、美味しい淹れ方とその特徴

浅蒸し茶って知ってる?

皆様浅蒸し煎茶というのは御存じでしょうか?深蒸しという製法は静岡県を代表する製法であり様々なメディアなどでも取り上げられたことからお茶が少しでも好きな人ならなんとなく聞いたことがあると思います。

ただその逆の浅蒸し製法で仕立てられているお茶も存在するのです。

その歴史は深蒸しよりもずっと古くから伝わる伝統的な製法です。

そもそも「深蒸し茶」とか「浅蒸し茶」とかよくわからないなんているかもしれません。

そこで今回は浅し茶と呼ばれるお茶の特徴やおいしい淹れ方、製法などをお伝えしていきたいと思います。

浅蒸し茶とはどんなお茶?

一般的な煎茶にはその製造過程の中で「蒸す」という作業があります。蒸気を利用して蒸すことでお茶は活性を止め、摘んだ後のきれいな緑色をした緑茶となるのです。

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蒸して茶葉の活性を止めないと発酵が進み緑茶ではなく烏龍茶や紅茶といったお茶に変わっていく為、お茶にとって蒸すというのは非常に重要な作業なのです。

その蒸す作業のわずかな時間によっても出来上がるお茶の形状、香り、味を左右するのです。

掛川茶などが知られテレビでも有名になった深蒸し煎茶は一般的なお茶よりも長く蒸すため「深蒸し」と呼ばれます。

一方、浅蒸し煎茶とはその蒸し時間が短い為「浅蒸し」と呼ばれお茶本来の味が楽しめる様作られたお茶なのです。

浅蒸し茶の蒸し時間

浅蒸し茶

一般的な普通蒸しと呼ばれるお茶はおよそ30秒~40秒の間この蒸すという工程があります。また牧之原茶や掛川茶などで知られる「深蒸し茶」「深蒸し製法」では普通蒸しのおよそ倍60秒~90秒の時間しっかり蒸されます。

これに対して「浅蒸し茶」は30秒未満と短く特に短いものではおよそ10秒ほどしか蒸さずに製造されます。

特に川根本町などで栽培されている川根茶は伝統的な浅蒸し製法で作られているものが多く、上質なお茶とされ日本五大銘茶にも数えられています。

浅蒸し茶の味わい

蒸し時間によりお茶の味わいは変化するとお伝えをいたしましたが今度はそれぞれの味わいについて説明をしたいともいます。

普通蒸し煎茶というのは一般的な蒸し時間で製造され、苦味や渋み、うま味のバランスが統制されています。

深蒸し煎茶は日照時間長いなどからもともとはお茶作りに適していない地域で何とかおいしく仕立て上げられないものかと思考の末に編み出された製法で苦味や渋みは少なくまろやかな味わいが特徴のお茶に仕上がります。

お茶の国静岡県では今やこの製法は一般的なっており、県内はもちろん県外の人にも愛されているお茶です。

一方で浅蒸し煎茶は標高が高い所で栽培されることで日照時間も短く、降水量なども多いなど緑茶づくりに最適な地方で栽培されるお茶を用いて製造されることが多く、静岡県では有名な川根本町や浜松市の天竜地区などで栽培されたお茶が浅蒸し製法で仕立てあげられることが多いお茶です。

実際に飲んでみると味わいは苦味、渋味のバランスが良くうまみもしっかりと引き出されており、力強い茶葉本来の香りや味わいを楽しむ事が出来ます。また青々しい独特の深い味わいも浅蒸し茶の魅力です。

浅蒸し茶の色合い

左が浅蒸し茶、右が深蒸し茶です。

浅蒸し茶の色合いは非常に澄んだエメラルドグリーンのようなきれいな色合いをしています。

上品な薄い色合いの為、しっかりと濃い緑色が出る深蒸し煎茶のファンの中にはお茶っぽさがないと毛嫌いする方もいます。

浅蒸し茶の香り、形状

浅蒸し茶 茶葉

茶葉の香りは非常に力強くワイルドで茶葉本来の香りを楽しむ事が出来ます。

蒸し時間が短い為形状もしっかりと残ります。隣の深蒸し茶は蒸し時間が長いことで形状は細かくなるのです。

蒸した時間によってこういった点も変わってくるので茶葉を見た時の参考にするといいかもしれません。

湯を注ぐと茶葉の時とはまた違った繊細で清涼感のある爽やかな香りがし、青葉の緑々しい香りと調和しています。

浅蒸し茶 抽出

浅蒸し茶の淹れ方

浅蒸し茶は非常に繊細な為、淹れ方一つで味わいが大きく変わってきます。

なので普段から入れ慣れているという方を除いてはしっかりとご準備の上、淹れていただきたいと思います。

用意するもの

茶 用意するもの
  • 浅蒸し煎茶
  • 急須
  • 湯冷まし(あれば)
  • 茶碗(人数分)
  • ストップウォッチ
  • 温度計
  • 量り

浅蒸し茶の美味しい淹れ方

  1. 沸かしたお湯を湯冷ましします。人数分の湯を湯冷まし、又は茶碗に移し温度を80℃まで下げます。熱いお湯のまま淹れると苦味や渋みなどが強く出すぎてしまい、旨味も感じにくくバランスの悪い味わいになってしまいます。
  2. 急須に茶葉を入れます。入れる量は1人分なら5gほど、3人分なら10g程度です。
  3. 冷ました湯を急須に入れます。
  4. お茶を浸出します。一般的な煎茶の浸出時間は60秒ほどですが浅蒸し茶は90秒ほど浸出します。急須にお湯を入れた後、急須を回したり揺らしたりしては絶対にダメ!余分な雑味が出てしまいます。じっくりと待ちましょう。
  5. お茶を茶碗に注ぎます。3人分なら1⇒2⇒3、3⇒2⇒1と交互に繰り返し淹れ、最後の一滴まで残さずに淹れるようにしましょう。

では上品で豊かな香り、力強くもすっきりとした生茶葉本来の味わいをお楽しみください。

二煎目の楽しみ方

一煎目と同じ80℃くらいから少し熱めの90℃くらいのお湯を急須に入れて蓋をし5秒から10秒ほど抽出します。

一煎目の際に茶葉が開いている為、短い時間でしっかりと抽出できます。

茶碗に注いでお召し上がりください。

浅蒸し煎茶は水出し冷茶もおすすめ

浅蒸し茶のさわやかですっきりとした味わいは冷茶にもぴったり、暑い時期などにのどを潤してくれるでしょう。

浅蒸し煎茶は水出し の方法も紹介させて頂きます。

お湯を沸かし沸騰したら常温になるまで冷まします。

水道水にはカルキが含まれていてそのまま使うと味わいや香りが損なわれてしまうので必ず一度沸騰させてカルキを飛ばしましょう

この工程が面倒であったり、こだわりたい人は国産のミネラルウォーターを用いるようにしましょう。

冷茶をつくるポットなどの容器に茶葉を入れ(1ℓの水に対し茶葉15gほどが目安)冷蔵庫にしまい3~6時間ほど待てば美味しくいただくことができます。

浅蒸し茶の魅力をお伝え出来たかと思いますがいかがでしたでしょうか?後は是非とも御自身で浅蒸し茶の茶葉本来の味わいと香りを楽しんでみてください。